気になる英文記事を見つけたので、要約と考察を書きます。
コーヒーの発酵過程で「麹」を使った場合、高級コーヒー豆「コピ・ルアック」のような良い風味を生むことができるとのレポートが発表されました。
食品ジャーナリスト片山晶子氏による、Forbesへの寄稿です。
元記事はこちら。

記事要約
コピ・ルアックというコーヒーをご存知の人も多いと思います。
東南アジアに生息するジャコウネコという動物がコーヒーの実を食べ、排泄されたコーヒー豆を使ったものです。
ジャコウネコの体内という特殊な環境での発酵により、特別な風味が醸し出されます。
kgあたり3万円程度にもなる、非常な高級品です。
ミネソタ大学で生物学を専攻した、樋口松之介商店の七代目である樋口弘一氏は、麹によって発酵されたコーヒーを開発しました。
樋口氏の方法は、コーヒー生豆(green beans)の上に胞子をふりかけ、数日間発酵させるというものです。これで、衛生的かつコントロール可能でありながら、ジャコウネコの体内と同じような変化をもたらすことを目指しています。
氏はこう話します。
「普通のコーヒー豆と比べると、深煎りではマイルドな味になるのに対して、浅煎りではよりクリアで、酸味が引き立つ味わいになります。また、通常のコーヒーにある、喉が軽くヒリヒリするような感覚がありません」
ライターの片山氏はこの麹発酵コーヒーを、プロにも飲んでもらい、意見を求めました。
インドとメキシコ産の、際立った特徴がないものを選び、麹発酵させたものとそうでないものを用意しています。
Joe Coffee CompanyのロースターであるAmaris Gutierrez-Rayはこう評価しています。
「予想していた以上に大きな違いがあった。通常インドに見られるアルミニウムのような嫌な風味は、ゴマかBBQを想起させる風味に変わっていた。メキシコのとげとげしさは丸くなり、SwissMiss社のココアのようにクリーミーでさえあった。
メキシコやインドのコーヒーは今まで、市場ではワンランク落ちるものと見られてきた。しかし麹を使い、付加価値を加えることによって、生産者がより高くコーヒーを売れるようになるかもしれない」
同じくディレクターであるChristopher Malarickは
「麹発酵によって甘みとソフトな口当たりが付加されるように思う。Joe Coffeeでもサンプルを作ってみたいし、違う焙煎度も試してみたい」
と語っています。
樋口氏はこの麹発酵コーヒーを商品化し、生豆の状態で輸出することを目指しています。
所感
発酵プロセスについて、上の記事だけではくわしく分からなかったのですが、green beansの上に胞子を振りかけるということは、通常のナチュラルもしくはウォッシュドの工程である程度の発酵を経て取り出した生豆に対して、さらに発酵を加えるということなのでしょうか?
だとしたら一工程増えることになるので、通常よりも価格は上がるんでしょうか。
またコピ・ルアックとの関連がよく分かりません。単に「おいしい発酵のしかた」というわけじゃなくてコピ・ルアックに近い味になるということなのでしょうか?
と、ちょっとこの記事を読んだだけでは情報不足のところもあるのですが、最近「発酵」が非常に面白いテーマであるのは事実です。
特に吉祥寺のLight Up Coffeeさんなんかは、バリに作った加工場で、マンゴーやシャンパン酵母を加えたり、わざと過発酵・未発酵のロットを作って味を比較したりされてます。
ときどき発酵違いのコーヒーを飲み比べるセミナー等も開催されてるので、参加すると非常に学びがあります。
麹に限らず、これから新しいタイプの発酵方法が生まれてくるかもしれません。
そうなった時に、今まではパッとしないと思われていた国のコーヒーが、あるいはロブスタなんかが新しい発酵方法と相性が良くて、人気が出るなんてことにもなるのかもしれません。
コピ・ルアックの生産に関しては、ジャコウネコを狭い飼育ケージに閉じ込めて、肉食のはずの彼らにコーヒーの実ばかり食べさせるような業者もいるという話も聞きます。
それもあって気が進まず、私はまだ飲んだことがありません。
麹で代用できるということになればジャコウネコの負担も無くなり、生産コストも下がるでしょうから、今までよりも気軽に飲めるようになりそうです。
一方で現在のコピ・ルアックの高値は純粋に美味しさを評価しただけのものではなく、生産コストの高さや、神秘的というか印象的なストーリー、希少性こそが高値の背景になっているという面もあるでしょう。
そういう意味ではあくまで代用品の麹コーヒーと、本物のコピ・ルアックが別々に残りそうな気もします。
いずれにせよジャコウネコが可哀相でない生産方法で出来たものなら、試しに飲んでみたいです。